2010年6月5日土曜日

クルマなイタリア。6月4日(2007年にかいたもの)

以下は、昔(2007年)、立ち上げて放置していた他のブログで書いた記事なのですが、意外にも結構な反響をもらっていたので、こちらにも移します。内容は基本、コピペですので一度読んだ方(いないと思うけれど)はあしからず。




あくまで、車のデザイン業界に関してであること、しかも私の個人的な違和感であることを、 はじめにいっておきたい。 

ピニンファリーナ社で、 車のデザイナーは、 スティリスタと呼ばれていたそんな時代。 
エンジニアの図面をもとに、 スタイル、つまりはお洋服をつくり、 

フィグリスタが、色をつけ、光をいれ、 
今では、レンダリングと呼ばれる、 フィグリーニに仕上げ、 
ある程度、3次元になったときの姿を想定して、 みんなで確認する。 
フェラーリならエンツォ・フェラーリ氏と共に選択する。 

何度かこれを繰り返して採用したり、手を変えたり、
他デザイナーやエンジニアのアイデアを組み合わせたりして採用案。


これを、上から、横から、前からの 等身大の図面(セクション図)におとして、 モデルにする。 
(はしょってますけど。)

アナログなその時代のスケッチたち、 スティリスタのサインがされたものは、 砂消しゴムで丁寧に消してから、 プレスに渡されていたそうですので、 社の代表が代表者としてコメントすることがあっても、 そのスケッチやアイデアが誰のものかを、 口にすることはタブーだったわけである。 
確かに、その時代にいたデザインチーフの名前だけでも、 調べてみれば、わかるもの。 


しかし、その時代でさえ、かならずしも デザインチーフやディレクターが、 一人でエクステリアのアイデアから、 レンダリングにおとして、 カラリングして、 マテリアルを手配して、 モデルをつくって、 インテリアをスケッチして、 モデルに、そして生産車にまで実現しているわけではない。 
プロジェクトによっては、 もちろん、チーフのポンチ絵が、 熱い思いで貫かれ、 プロダクトになったものもあるかもしれない。 


だが、そんな時代は、せめて、 
ガンディー二どまりなのじゃないだろうか。 

車だって、商品です。芸術的な情緒的な価値もありますが、貴族だけが車をもつ時代ではない今では、 悲しいかな、投資して、それがリターンされるよう、 売ってなんぼの「商品」なんです 


いろんなヒトがかかわっているのは必然なわけです。 

この10年ぐらいでしょうか。 AUTO&DESIGNや、CAR STYLING(2010年196号で休刊(涙))などには、 スケッチの端っこに、 デザイナーのサインが、 まるで、ブランドバッチのように、 誇らしげに入るようになっている。 


確かに自分をPRすることは大切だが、統合の度重なるメーカーにとって、 ブランディングが叫ばれてだいぶたった今、この状況はどうなんだろう。 

一人でデザインしたと名乗る、 名声高いスター選手、 
これを、 あちらこちらは引き抜きたがるもので、 
その年俸だって、 うなぎのぼりである。
(それは、デザイナーの妻としては、嬉しいことではあるけれど、
ワークチームの一員としては、複雑な心境だ。) 

ここで、雇う側も慎重になるべきで、 スターに頼りきると、 より高い年俸に引かれて他の会社にいってしまった後や、 その社との関係が悪化したりしたときには、 まだまだ そのブランドの文化が育っていなかったり、 軸がずれてしまっていたり、 ひどいときには、資金を骨抜きにされて、 プライドさえ踏み潰されていたりするわけだ。実際、そんな痛い思いをしたところはトリノにあちらこちらとある。

2007年の初めくらいからだろうか、AUTO&DESIGNに掲載された スケッチには、一部、 サインが消されるようになっていた。 

確かに、 自分を商品としてキャリアのために、成果を上手にプロモートすることは大事だけれど、 それを自分ひとりの創造物として、 所有権をひとりじめできるものではない。

あくまで、 

チームワークのたまもので、 意匠は社のもの。マネージャーとしての裁量の巧みさはあれど、 なにはともあれ、メーカーさんがいて、そのメーカーさんのお客さん、買ってくれる人がこそ、仕事ができる。 

なにも特権があるわけじゃない。 肝に銘じて、姿勢を改めるときが、 来ているのではないか。


※ちょっと加筆したところもあるが、これを書いたのは、2007年。
実際、いろいろなデザインスタジオやカロッツェリアが倒産したり、統合されたりという、
カーデザイナー飽和状態に陥っている、現在2010年である。


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